【書籍】ペリペティアの福音(ISBN:4257768258)

昔読んだ本なんですが、いい本なので紹介します。
SFなんですが、聖書の話や神の奇跡などちょっと非科学的なことも出てきます。それを強引に科学的な説明を試みているところに感心させられます。
内容は、銀河のごみ捨て場だった惑星ペリペティアで、その昔銀河を統一したといわれる大帝の墓が発見され、銀河最大の葬儀屋が大帝の葬儀を行おうとするのだが、クローンを使った臓器を製造する医療会社がその大帝のDNAを狙って、葬儀屋と対立。そこへ大帝の威光を手に入れようと、専制国家がぞくぞくと終結。そして、銀河最大国家の連邦も介入してきます。さらに連邦の野望を阻もうと別の組織もやってきて、惑星ペリペティアは大混乱。そんな状況で惑星ペリペティアで起きた奇跡の物語をつづったのが本作です。
上中下巻の3冊で、特に下巻はボリュームもあるが、感動的なストーリーが展開して読み応えがあります。著者の秋山完は、この作品を含め他の作品もひとつの世界観で書いています。ですから、この作品以外の話も読んでおくと、より一層理解が深まります。しかし、本作だけでも十分な感動を得られるのは間違いありません。
一番の感動は下巻の最後で、一人の少女*1が起こす奇跡。主人公*2が起こす神がかりの奇跡と違って、人が起こす奇跡の場面。その場面のあと、その少女に対して向けられた台詞がぐっと心を捉えます。
「あれが奇蹟なら、あなたが起こしたのだ・・・・あなたは、人が神の助けがなくても奇跡を起こせることを、示されたのです」

*1:主人公ではないのだが、別の作品では主人公となる人物。

*2:銀河最大の葬儀屋の新米の葬祭司補なのだが、なぜか大帝の葬儀の司祭に任命される。もちろん理由があるのだが、それは物語のキーにもなっています。